エルドリッチは強力な蘇生効果をもつ黄金卿エルドリッチと、それが場にいるときに強力な妨害効果をもつ黄金郷罠カードが中心のテーマです。妨害効果の黄金郷罠カードや黄金卿エルドリッチを特殊召喚するエルドリクシルカードは、共通して墓地効果でテーマのカードをサーチする効果を持っているのでリソースを途切れさせずに黄金卿エルドリッチを展開して戦うのが基本の動きです。
またモンスターは黄金卿エルドリッチ以外ほとんど採用しなくて済むので、場の効果モンスターを妨害するスキルドレインや展開を抑止する群雄割拠、御前試合、サモンリミッターなどを無理せず採用でき、罠ビートとして戦うことができるのがポイントです。
黄金卿エルドリッチ
黄金卿エルドリッチはこのデッキの中核カードです。手札にある時魔法・罠カードとともに墓地に送ることでフィールドのカードを墓地に送る除去効果と、墓地にいるときに場の魔法・罠を墓地に送って自身を蘇生する効果を持ちます(正確にいうと手札の別のアンデット族を展開することもできますが、純エルドリッチ構築では基本的に墓地から回収した黄金卿エルドリッチをそのまま召喚することになります)。
蘇生効果のコストは腐った魔法・罠カードでよいので、攻撃力が3500まで上がり破壊耐性がついている黄金卿エルドリッチを途切れなく展開できるのが強みになります。
エルドリクシルカード:エルドリッチを特殊召喚
エルドリクシルカードは場に黄金卿エルドリッチを特殊召喚するための魔法・罠カードになります。黄金卿エルドリッチは一旦手札、場、墓地に持ってくることができれば、あとは自身の効果でいくらでも蘇生できるので、よく使われるのはデッキから特殊召喚できる黒き覚醒のエルドリクシルと紅き血染めのエルドリクシルになります。
また、エルドリクシルカードは共通効果で墓地から除外して黄金郷カードをデッキからセットする効果を持っています。
種類 | サーチ元 | |
---|---|---|
黒き覚醒のエルドリクシル | 通常魔法 | 手札・デッキ |
紅き血染めのエルドリクシル | 通常罠 | デッキ・墓地 |
白き宿命のエルドリクシル | 速攻魔法 | 手札・墓地 |
黒き覚醒のエルドリクシル
黒き覚醒のエルドリクシルは手札・デッキから黄金卿エルドリッチを特殊召喚することができます。
守備表示でしか特殊召喚することができないので展開して攻撃するという運用はできませんが、デッキから黄金卿エルドリッチをサーチできる重要な初動札の一枚です。
紅き血染めのエルドリクシル
紅き血染めのエルドリクシルは墓地・デッキから黄金卿エルドリッチを特殊召喚することができます。
デッキから黄金卿エルドリッチをサーチする貴重な初動札であるだけでなく、墓穴の指名者などで相手が墓地にある黄金卿エルドリッチを除外しようとしたときにチェーンして墓地から回収するという運用ができます。
問題点としては、罠カードなのでどうしても発動までにセットする必要があり、ワンテンポ初動が遅れることになります。逆に罠カードなので墓地から除外して黄金郷カードをサーチする効果は、相手ターンに発動することもできます。相手のエンドフェイズに次の自分のターンに必要な妨害カードをセットしておけば自分のターンにサーチした黄金郷カードをすぐに使うという運用も可能です。
白き宿命のエルドリクシル
白き宿命のエルドリクシルは発動タイミングの自由度が高い速攻魔法で黄金卿エルドリッチを特殊召喚できるのは魅力ですが、黄金卿エルドリッチをデッキからサーチするカードとしては使うことができず、採用されることはほかの2枚のエルドリクシルカードよりも少ないです。
名推理や隣の芝刈りなどの墓地肥やしエンジンをデッキに組み込む場合には墓地効果を積極的に使うために採用されます。
黄金郷カード:妨害効果付き罠モンスター
黄金郷カードは発動後モンスターカード扱いで場に特殊召喚される永続罠カードと黄金卿エルドリッチ専用のカウンター罠である永久に輝けし黄金郷があります。いずれもエルドリクシルカードでサーチすることができます。
また、黄金郷永続罠カードは共通効果でエンドフェイズに除外することでデッキからエルドリクシルカードをサーチする効果があり、永続罠で妨害したあとに次の黄金卿エルドリッチ展開の準備をすることができます。
金郷のコンキスタドール
黄金郷のコンキスタドールは黄金卿エルドリッチが存在する場合に特殊召喚されるとフィールドの表側表示のカードを対象をとらずに破壊する強力な除去効果を持っています。対象にとれない耐性を持つカードも貫通してフリーチェーンで除去ができるので大型モンスターもこれ一枚で返すことができる可能性があります。
黄金郷のワッケーロ
黄金郷のワッケーロは黄金卿エルドリッチが存在する場合に特殊召喚されると墓地のカードを除外することができます。相手の墓地利用にチェーンして妨害するという運用が効果的です。
また攻撃力が1800とそこそこあるので、黄金卿エルドリッチが引けないときのビートダウンで活躍することもできます。
黄金郷のガーディアン
黄金郷のガーディアンは黄金卿エルドリッチが存在する場合に特殊召喚されるとモンスターの攻撃力を対象をとらずに0にする効果を持ちます。ほかの黄金郷永続罠にくらべてやや見劣りする効果ですが、効果破壊に耐性をもつカードを戦闘破壊することもできるようになるためデッキに1枚だけ採用して必要なときにエルドリクシルカードでサーチするという運用がなされることがあります。
また守備力が2500と高いので黄金卿エルドリッチが引けるまでこのカードで戦闘を耐え、このカードが除去され次第墓地効果でエルドリクシルカード経由で黄金卿エルドリッチをサーチするという初動補助にも役立ちます。
永久に輝けし黄金郷
永久に輝けし黄金郷は黄金卿エルドリッチが存在するときにアンデット族をリリースして発動できる万能カウンター罠カードです。効果を使ったあとの黄金郷永続罠モンスターもコストに使えます。
呪われしエルドランド]
呪われしエルドランドはライフを800支払ってデッキから黄金郷カードをサーチする効果と墓地に落ちたときに黄金卿エルドリッチか黄金郷カードを墓地に送る効果を持ちます。
安定して妨害効果をもつ黄金郷カードをサーチすることができるのでリソースの削りあいを有利に進めることができるようになります。
基本的には毎ターン効果を発動してアドバンテージを稼いでいきますが、フィールド上から墓地に送られたときに墓地効果のために黄金卿エルドリッチや黄金郷カードを墓地におくることもできるので、場合によっては黄金卿エルドリッチ蘇生のコストに使用することもあります。
使用頻度の低い他のテーマカード
黄金狂エルドリッチ
黄金狂エルドリッチはエルドリッチテーマ唯一の融合モンスターで、黄金卿エルドリッチと黄金郷カードの二枚での融合召喚が基本的な召喚方法になります。
破壊耐性とコントロール奪取の強力な効果をもつものの融合カードの採用によって事故率があがるのであまり積極的にこのカードが採用されることはありません。むしろ超融合を使って相手の黄金卿エルドリッチやアンデット族を除去するという運用がなされることが多く、エルドリッチ同士の対戦では注意を払う必要があります。
相性のいいカード
純粋なエルドリッチテーマは高い攻撃力と耐性のある黄金卿エルドリッチを途切れなく展開できるという魅力はありますが、エルドリッチデッキがプラチナ帯でも安定的に活躍できるのは、多くの妨害カードを無理なく採用できることにあります。こうした妨害罠カードは相手のデッキによっては効果はいまひとつですが、それでも最悪黄金卿エルドリッチ再生のためのコストにすることができるので腐ることもありません。
例えば、スキルドレインはフィールド上のモンスター効果を封殺しますが、黄金卿エルドリッチの手札効果と墓地効果は一切影響を受けないこと、黄金郷罠モンスターには影響がないことから自分には影響なく採用することができます。
スキルドレイン
また黄金卿エルドリッチと黄金郷罠モンスターは光属性アンデット族で統一されているので、群雄割拠や御前試合といった種族統一、属性統一を強制する妨害カードも無理なく採用できます。
群雄割拠と御前試合
王宮の勅命
エルドリクシルカードや呪われしエルドランドなど魔法カードも採用しますが、比重がやや小さいので王宮の勅命もよく採用されます。邪魔になっても黄金卿エルドリッチ蘇生のコストとして能動的に魔法無効の状態を解除することもできます。
エルドリッチをデッキからサーチする
黄金卿エルドリッチは一旦引くなり墓地に送るなりしてしまえば、後はいくらでも自己再生することができるのでまずはとにかく引き当てること、墓地に送ることが重要になります。
紅き血染めのエルドリクシルや黒き覚醒のエルドリクシルといったテーマカードはもちろんおろかな埋葬など枠を広げてさまざまなカードを採用することが初動の安定につながります。
ユニゾンビ
ユニゾンビはデッキからアンデット族モンスターを墓地に送ってレベルを操作できるチューナーモンスターです。これで黄金卿エルドリッチを墓地に送りそのまま蘇生すればハリラドン展開に繋げることもできます。
グローアップ・ブルーム
グローアップ・ブルームは墓地に送られた場合に自身を除外してデッキから上級アンデット族モンスターをサーチする効果を持っています。
名推理
名推理は通常召喚可能なモンスターが出るまでデッキからカードをめくり、相手が指定したレベルでなければそのモンスターを特殊召喚する効果を持ちます。相手がレベル10を指定した場合には特殊召喚できずに墓地に送られてしまいますが、黄金卿エルドリッチは簡単に蘇生できるためこの不安定さも特に気になりません。
また、それまでにめくった魔法・罠カードは墓地に送られるため、墓地にエルドリクシルや黄金郷カードが溜まり墓地効果でさらにアドバンテージに繋げることもできます。
ドーハスーラとアンデットワールド
紅き血染めのエルドリクシルなどエルドリクシルカードは基本的には黄金卿エルドリッチの特殊召喚に使われますが、実は場に黄金卿エルドリッチさえいればアンデット族モンスター全体に特殊召喚の幅を広げることができます。
黄金卿エルドリッチの召喚条件やメタ型の罠カードとの相性を考えて、この型のエルドリッチデッキで注目を集めているのが死霊王 ドーハスーラです。
アンデット族モンスターの効果を発動したときに発動できる効果は黄金卿エルドリッチにも発動できるため、黄金卿エルドリッチの蘇生に併せて相手のモンスターを除外することができます。
アンデットワールドを併用すればスタンバイフェイズごとにフィールド魔法があれば墓地から蘇生することができる効果が使えるようになり、さらに場・墓地のモンスターをアンデット族になるので死霊王 ドーハスーラの効果を相手のモンスター効果の無効のためにも活用することができます。
ほかにもアンデットワールド単体が種族縛りがあるような効果や召喚条件をもつテーマやアドバンス召喚に強く出れるようになり、メタ性能をさらに高めることができるようになります。
例えば環境トップクラスのデッキだと、ふわんだりぃずの鳥獣族が召喚されたときに除外されている自身を回収する効果やアドバンス召喚をこのカード1枚で封殺することができます。
アンデットワールドは屍界のバンシーでサーチすることも可能なので、おろかな埋葬やユニゾンビなど黄金卿エルドリッチを墓地に送るエンジンを転用すれば間接的にサーチすることも可能です。
エルドリッチのEXデッキ考
エルドリッチは黄金卿エルドリッチを途切れなく展開しながら罠カードで相手の行動を制限するのが特徴になり、EXデッキの比重はかなり小さくなっています。そのためマスターデュエル開始時にはかなり安く構築できるデッキとして注目を集めていました。
しかし、基本使用しないからといって疎かにしているとあと1歩のところで差がつくことがあるのも事実です。
超弩級砲塔列車グスタフ・マックス
超弩級砲塔列車グスタフ・マックスはランク10のエクシーズモンスターでエクシーズ素材を取り除くことで相手に2000ダメージを与える効果を持ちます。
攻撃を封じられたり、またバトルフェイズでライフを削り切れなかったりしたとき、黄金卿エルドリッチ2枚で特殊召喚して「あと一歩」のダメージを与えることができる超弩級砲塔列車グスタフ・マックスはEXデッキに入れておくと重宝します。
強欲で金満な壺と金満で謙虚な壺
逆にエクストラデッキに依存しないことを逆手にとって強欲で金満な壺や金満で謙虚な壺といったエクストラデッキを犠牲に手札を増強するカードも採用できます。