ザ・ニューボーン・ドラゴンにて新しく収録された烙印融合が急速にマスターデュエルの環境を塗り替えています。第9期ランク戦や第9期ランク戦はまさに烙印融合で完成した烙印デスピア一色という具合です。
この環境トップデッキの展開を止めてゲームを有利にすすめるためには、初手の烙印融合をいかに防げるか、という一点にかかっています。対戦相手は当然にあらゆる手段でなんとか烙印融合を無効化しようと手を尽くしてきます。
ところで失烙印というカードをご存知でしょうか?
失烙印は永続魔法で、場に存在する限り融合召喚するカードの発動が無効化されず、また融合召喚成功時に相手はカードの効果を発動することができなくなります。このため融合召喚を安全に通して融合モンスターを着地させることができます。
烙印カードなのでデスピアの導化アルベルなど豊富なサーチカードがあるためデッキに1枚でも入れておけば烙印融合を安全に通すことができる!
…わけではありません。例えば、広く採用される手札誘発カード灰流うららは失烙印が発動していても、しっかり烙印融合を無効化します。
なぜ失烙印発動下でも灰流うららを防ぐことができないのか、どんなカードなら烙印融合を無効化できて、どんなカードは失烙印では防げないのか。
この問題は失烙印だけでなく、召喚獣で活躍するフィールド魔法暴走魔法陣にも当てはまります。
烙印融合を通したい烙印デスピア使いのみならず、烙印融合を無効化したいアンチ烙印デスピアや召喚獣使いにも役に立つ記事になっています。
「効果の無効」と「発動の無効」
失烙印の効果を確認すると「融合モンスターを融合召喚する効果を含む効果を自分が発動した場合、その発動は無効化されず」とあり、無効化できなくなるものは「効果の発動」であることがわかります。
一方、灰流うららが無効化するものは「効果」そのものとなっています。
「効果の発動の無効」と「効果の無効」はパッと見ただけでは違いがあるのか分かりませんが、遊戯王のルール上明確に区別されています。
「効果の発動の無効」は、「その効果の発動がそもそもできなかった」状態になるイメージです。発動ができていないので、「1ターンに1度しか発動できない」効果の効果が無効化された場合、もう一度そのターン中に発動することができます。
なお、ややこしいのですが発動が無効化されても、その効果は「使用した」扱いにはなります。そのため「1ターンに1度しか使用できない」効果は、効果の発動が無効にされても、使用した事実は消えずにもうそのターンには発動ができません。
一方で、「効果の無効」は、「その効果は発動したが、効果は適用されない」という扱いになります。1ターンに一度だけ発動できる効果も発動した状態になるので、もうそのターン中には発動できません。1ターンに一度だけ使用できる効果もすでに使用済みとなり発動できません。
失烙印や暴走魔法陣が場にあると、発動を無効化されることはなくなりますが、発動が通ってから効果が適用されるかどうかについては特に何もしてくれません。灰流うららは発動までは無効化しませんが、効果は無効化するので烙印融合の効果は適用されなくなってしまいます。
失烙印で防げるカード
同じように手札誘発カードの緑光の宣告者は発動を無効化する効果を持っているので失烙印や暴走魔法陣によって防ぐことができます。
緑光の宣告者
ほかにも多くのカウンター罠カードは発動を無効化する効果を持っているので失烙印や暴走魔法陣が場にある場合には、融合召喚を防ぐことができません。採用率が高いカードだと神の警告や神の宣告は、失烙印や暴走魔法陣によって防ぐことができるカードの代表例です。
また、失烙印や暴走魔法陣が発動している間は、融合召喚以外になにか別の効果を持っているカードの発動も無効化されません。
例えば、赫の烙印は墓地からデスピアやアルバスの落胤を回収する効果を適用してから融合召喚を行うかどうか選択できますが、融合召喚を行う効果を含んでいるとして失烙印に守られます。同様に、デストーイ・マーチも相手の発動を無効化する効果も守ることができます。
デストーイ・マーチ
ほかにも、簡易融合のように融合素材を一切使わない融合カードも融合召喚を行うカードであれば、失烙印や暴走魔法陣の保護を受けられます。
融合召喚を妨害できる例
効果のみを無効にするカード
この記事の最初でもみたように灰流うららは効果のみを無効化するカードで、発動までは無効化しませんから、失烙印や暴走魔法陣を貫通して烙印融合を無効化することができます。
よく採用されるカードで発動は無効にせずに効果のみを無効にするカードは以下の通りです。
墓穴の指名者はモンスターしか無効化することができないので、烙印融合など多くの融合関連カードは無効化できませんが、アルバスの落胤など融合効果を内蔵するモンスター効果に大しては有効です。
融合召喚そのものを防ぐ
融合召喚をそもそもできない状況であれば、失烙印や暴走魔法陣が発動していても融合召喚を行うことはできません。
例えば、失烙印が発動していても特殊召喚を封じる効果をもつ烈風の結界像が場にいる状態では、(風属性の融合モンスターを出す場合を除いて)そもそも烙印融合は発動できません。また、烈風の結界像が場にいないときに烙印融合にチェーンしてリビングデッドの呼び声で烈風の結界像が特殊召喚された場合、失烙印が発動していても融合召喚を行う効果は処理されません。
虚無空間や虚無魔人なども同じように防ぐことはできません。
虚無魔人
また、融合召喚を禁止する融合禁止エリアや次元障壁が場にある場合には烙印融合は発動できませんし、場にない場合に烙印融合にチェーンして発動された場合には効果を適用できません。
次元障壁
召喚回数を制限するサモンリミッターやミルドラージュも、回数が上限に達すれば失烙印が場にある状態でも烙印融合を通すことはできません。
ミルドラージュ
特定の属性・種族のモンスター以外の特殊召喚を封じる御前試合や群雄割拠でも烈風の結界像同様に、失烙印や暴走魔法陣によってその属性・種族以外の融合召喚ができるようになる、ということはありません。
融合召喚の素材を除去する
融合召喚する効果を適用するときに、融合素材が不足していれば当然ながら融合召喚できません。例えば、アルバスの落胤は召喚成功時に自身を素材にして融合召喚を行う効果を持っていますが、効果適用時にすでに場を離れている場合には、失烙印や暴走魔法陣が場にあっても融合召喚を行うことはできません。
これはすべての融合関連カードに言えることで、例えば手札のカードを素材に融合召喚するために融合を発動した後、チェーンされた手札断殺で手札の素材を捨ててしまった場合は、融合の効果適用時に残っていた手札・場のモンスターで融合することになります。そこで融合召喚できる組み合わせがなければ、融合召喚を行うことはできません。レアケースではありますが、烙印融合でもチェーンして発動したカードで場・手札・デッキ破壊などで場・手札・デッキから素材が完全に枯渇すると、融合召喚を行うことはできません。