MasterDuel Notebook

【ルール解説】失烙印ではうららを防げない?

ザ・ニューボーン・ドラゴンにて新しく収録された烙印融合が急速にマスターデュエルの環境を塗り替えています。第9期ランク戦第9期ランク戦はまさに烙印融合で完成した烙印デスピア一色という具合です。

この環境トップデッキの展開を止めてゲームを有利にすすめるためには、初手の烙印融合をいかに防げるか、という一点にかかっています。対戦相手は当然にあらゆる手段でなんとか烙印融合を無効化しようと手を尽くしてきます。

ところで失烙印というカードをご存知でしょうか?

永続魔法
このカード名の②の効果は1ターンに1度しか使用できない。①:このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、融合モンスターを融合召喚する効果を含む効果を自分が発動した場合、その発動は無効化されず、その融合召喚成功時に相手は魔法・罠・モンスターの効果を発動できない。②:自分が融合モンスターの融合召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「アルバスの落胤」1体またはそのカード名が記されたモンスター1体を手札に加える。

失烙印は永続魔法で、場に存在する限り融合召喚するカードの発動が無効化されず、また融合召喚成功時に相手はカードの効果を発動することができなくなります。このため融合召喚を安全に通して融合モンスターを着地させることができます。

烙印カードなのでデスピアの導化アルベルなど豊富なサーチカードがあるためデッキに1枚でも入れておけば烙印融合を安全に通すことができる!

…わけではありません。例えば、広く採用される手札誘発カード灰流うらら失烙印が発動していても、しっかり烙印融合を無効化します。

なぜ失烙印発動下でも灰流うららを防ぐことができないのか、どんなカードなら烙印融合を無効化できて、どんなカードは失烙印では防げないのか。

この問題は失烙印だけでなく、召喚獣で活躍するフィールド魔法暴走魔法陣にも当てはまります。

フィールド魔法
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。①:このカードの発動時の効果処理として、デッキから「召喚師アレイスター」1体を手札に加える事ができる。②:このカードがフィールドゾーンに存在する限り、融合モンスターを融合召喚する効果を含む効果を自分が発動した場合、その発動は無効化されず、その融合召喚成功時に相手は魔法・罠・モンスターの効果を発動できない。

烙印融合を通したい烙印デスピア使いのみならず、烙印融合を無効化したいアンチ烙印デスピア召喚獣使いにも役に立つ記事になっています。

「効果の無効」と「発動の無効」

失烙印の効果を確認すると「融合モンスターを融合召喚する効果を含む効果を自分が発動した場合、その発動は無効化されず」とあり、無効化できなくなるものは「効果の発動」であることがわかります。

永続魔法
このカード名の②の効果は1ターンに1度しか使用できない。①:このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、融合モンスターを融合召喚する効果を含む効果を自分が発動した場合、その発動は無効化されず、その融合召喚成功時に相手は魔法・罠・モンスターの効果を発動できない。②:自分が融合モンスターの融合召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「アルバスの落胤」1体またはそのカード名が記されたモンスター1体を手札に加える。

一方、灰流うららが無効化するものは「効果」そのものとなっています。

モンスター
星3
[アンデット族/効果/チューナー]
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。①:以下のいずれかの効果を含む魔法・罠・モンスターの効果が発動した時、このカードを手札から捨てて発動できる。その効果を無効にする。 ●デッキからカードを手札に加える効果 ●デッキからモンスターを特殊召喚する効果 ●デッキからカードを墓地へ送る効果

「効果の発動の無効」と「効果の無効」はパッと見ただけでは違いがあるのか分かりませんが、遊戯王のルール上明確に区別されています。

「効果の発動の無効」は、「その効果の発動がそもそもできなかった」状態になるイメージです。発動ができていないので、「1ターンに1度しか発動できない」効果の効果が無効化された場合、もう一度そのターン中に発動することができます。

なお、ややこしいのですが発動が無効化されても、その効果は「使用した」扱いにはなります。そのため「1ターンに1度しか使用できない」効果は、効果の発動が無効にされても、使用した事実は消えずにもうそのターンには発動ができません。

一方で、「効果の無効」は、「その効果は発動したが、効果は適用されない」という扱いになります。1ターンに一度だけ発動できる効果も発動した状態になるので、もうそのターン中には発動できません。1ターンに一度だけ使用できる効果もすでに使用済みとなり発動できません。

失烙印暴走魔法陣が場にあると、発動を無効化されることはなくなりますが、発動が通ってから効果が適用されるかどうかについては特に何もしてくれません。灰流うららは発動までは無効化しませんが、効果は無効化するので烙印融合の効果は適用されなくなってしまいます。

失烙印で防げるカード

同じように手札誘発カードの緑光の宣告者は発動を無効化する効果を持っているので失烙印暴走魔法陣によって防ぐことができます。

緑光の宣告者

ほかにも多くのカウンター罠カードは発動を無効化する効果を持っているので失烙印暴走魔法陣が場にある場合には、融合召喚を防ぐことができません。採用率が高いカードだと神の警告神の宣告は、失烙印暴走魔法陣によって防ぐことができるカードの代表例です。

カウンター罠
①:2000LPを払って以下の効果を発動できる。 ●モンスターを特殊召喚する効果を含む、モンスターの効果・魔法・罠カードが発動した時に発動できる。その発動を無効にし破壊する。 ●自分または相手がモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚する際に発動できる。それを無効にし、そのモンスターを破壊する。

カウンター罠
①:LPを半分払って以下の効果を発動できる。 ●魔法・罠カードが発動した時に発動できる。その発動を無効にし破壊する。 ●自分または相手がモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚する際に発動できる。それを無効にし、そのモンスターを破壊する。

また、失烙印暴走魔法陣が発動している間は、融合召喚以外になにか別の効果を持っているカードの発動も無効化されません。

例えば、赫の烙印は墓地からデスピアやアルバスの落胤を回収する効果を適用してから融合召喚を行うかどうか選択できますが、融合召喚を行う効果を含んでいるとして失烙印に守られます。同様に、デストーイ・マーチも相手の発動を無効化する効果も守ることができます。

魔法
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。①:自分の墓地の、「デスピア」モンスターまたは「アルバスの落胤」1体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。その後、以下の効果を適用できる。●自分の手札・フィールドから、レベル8以上の融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを除外し、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターはこのターン直接攻撃できない。

デストーイ・マーチ

ほかにも、簡易融合のように融合素材を一切使わない融合カードも融合召喚を行うカードであれば、失烙印暴走魔法陣の保護を受けられます。

通常魔法
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。①:1000LPを払って発動できる。レベル5以下の融合モンスター1体を融合召喚扱いとしてEXデッキから特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターは攻撃できず、エンドフェイズに破壊される。

融合召喚を妨害できる例

効果のみを無効にするカード

この記事の最初でもみたように灰流うららは効果のみを無効化するカードで、発動までは無効化しませんから、失烙印暴走魔法陣を貫通して烙印融合を無効化することができます。

よく採用されるカードで発動は無効にせずに効果のみを無効にするカードは以下の通りです。

通常罠
自分フィールドにカードが存在しない場合、このカードの発動は手札からもできる。①:相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの効果をターン終了時まで無効にする。セットされていたこのカードを発動した場合、さらにこのターン、このカードと同じ縦列の他の魔法・罠カードの効果は無効化される。

魔法
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。①:カード名を1つ宣言して発動できる。宣言したカード1枚をデッキから除外する。ターン終了時まで、この効果で除外したカード及びそのカードと元々のカード名が同じカードの効果は無効化される。

魔法
①:相手の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを除外する。次のターンの終了時まで、この効果で除外したモンスター及びそのモンスターと元々のカード名が同じモンスターの効果は無効化される。

墓穴の指名者はモンスターしか無効化することができないので、烙印融合など多くの融合関連カードは無効化できませんが、アルバスの落胤など融合効果を内蔵するモンスター効果に大しては有効です。

融合召喚そのものを防ぐ

融合召喚をそもそもできない状況であれば、失烙印暴走魔法陣が発動していても融合召喚を行うことはできません。

例えば、失烙印が発動していても特殊召喚を封じる効果をもつ烈風の結界像が場にいる状態では、(風属性の融合モンスターを出す場合を除いて)そもそも烙印融合は発動できません。また、烈風の結界像が場にいないときに烙印融合にチェーンしてリビングデッドの呼び声烈風の結界像が特殊召喚された場合、失烙印が発動していても融合召喚を行う効果は処理されません。

モンスター
星4
[鳥獣族/効果]
①:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、お互いは風属性モンスターしか特殊召喚できない。

虚無空間虚無魔人なども同じように防ぐことはできません。

永続罠
①:このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、お互いにモンスターを特殊召喚できない。②:デッキまたはフィールドから自分の墓地へカードが送られた場合に発動する。このカードを破壊する。

虚無魔人

また、融合召喚を禁止する融合禁止エリア次元障壁が場にある場合には烙印融合は発動できませんし、場にない場合に烙印融合にチェーンして発動された場合には効果を適用できません。

永続罠
お互いのプレイヤーは融合召喚をする事ができない。

次元障壁

召喚回数を制限するサモンリミッターミルドラージュも、回数が上限に達すれば失烙印が場にある状態でも烙印融合を通すことはできません。

永続罠
このカードがフィールド上に存在する限り、お互いのプレイヤーは1ターンに合計2回までしかモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚できない。

ミルドラージュ

特定の属性・種族のモンスター以外の特殊召喚を封じる御前試合群雄割拠でも烈風の結界像同様に、失烙印暴走魔法陣によってその属性・種族以外の融合召喚ができるようになる、ということはありません。

永続罠
①:このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、お互いのフィールドにそれぞれ1種類の属性のモンスターしか表側表示で存在できない。お互いのプレイヤーは自身のフィールドの表側表示モンスターの属性が2種類以上の場合には1種類になるように墓地へ送らなければならない。

永続罠
①:このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、お互いのフィールドにそれぞれ1種類の種族のモンスターしか表側表示で存在できない。お互いのプレイヤーは自身のフィールドの表側表示モンスターの種族が2種類以上の場合には1種類になるように墓地へ送らなければならない。

融合召喚の素材を除去する

融合召喚する効果を適用するときに、融合素材が不足していれば当然ながら融合召喚できません。例えば、アルバスの落胤は召喚成功時に自身を素材にして融合召喚を行う効果を持っていますが、効果適用時にすでに場を離れている場合には、失烙印暴走魔法陣が場にあっても融合召喚を行うことはできません。

これはすべての融合関連カードに言えることで、例えば手札のカードを素材に融合召喚するために融合を発動した後、チェーンされた手札断殺で手札の素材を捨ててしまった場合は、融合の効果適用時に残っていた手札・場のモンスターで融合することになります。そこで融合召喚できる組み合わせがなければ、融合召喚を行うことはできません。レアケースではありますが、烙印融合でもチェーンして発動したカードで場・手札・デッキ破壊などで場・手札・デッキから素材が完全に枯渇すると、融合召喚を行うことはできません。